第6回 カービングをした野菜を使ったスペシャルコース料理 -2013.1.20-

 今年も北野のフレンチレストランKomatsu Dining様にご協力を頂き、料理会を行いました。 最初の小松シェフとの打ち合わせは、私が使いたい材料を申し上げ、小松シェフにだいたいのお料理の構想をして頂きます。次は、現物のカービングをお持ちし、小松シェフにお料理を確定して頂きます。
 今回は、最初の打ち合わせでは、「くわい」や「ちょろぎ」など、今までに料理会で使ったことのない 素材を使いたいと申し上げていたのですが、本番に近づいたころには、「くわい」も「ちょろぎ」も近場では 見つけられなくなり、使用するのを諦めました。
 旬があるのは、ベジタブル・カービングをする上で、面白いところであり、本番に近い時になると、事前に想定していた材料が使えないという難しい面もあります。
 今回は、カービングのデザインとしては、シンプルかつオーソドックスな細工を多く用いました。これなら できるかもしれないと思って頂けるデザインもありますので、是非参考にしてください。

にんじんのリボンブーケと胡瓜のハート 甘エビのマリネ、サーモンとカニと卵、ハーブのゼリー寄せ

 こちらは、スライスしたにんじんをまとめて、一番上に胡瓜で作ったハートで留めました。 こんもりと立体感のある仕上がりになったのですが、出来上がったカービングをバットに並べていると、 なんだか食べるには少し大きいかもしれないと不安になってきました。
 私も、皆様と同じお料理を頂くのですが、小松シェフが作ってくださったゼリー寄せのお味が濃厚で、 にんじんのリボンブーケがあっさりとして調和しており、「さすが、小松シェフ!」と感じた一皿でした。 ひとつだけ白いものがあるのは、毎回来てくださるお一人の方が、にんじんが苦手と知っておりましたので、 こちらだけ大根で作らせて頂きました。

キウイのV字カットの花 スナップえんどうのスープ

 キウイのV字カットの花は、皮を残してカットして、フルーツのプレートにするのですが、これはV字カットを深く切り込んでいて、簡単なカービングで私が好きなもののひとつです。

大根の波型の花とにんじんの葉脈柄の葉 舌平目のワイン蒸しパパイヤのソース

 こちらのカービングは、花も葉も、オーソドックスなイメージのカービングですが、私の好みのデザインです。生で飾るカービングとは違い、火の通り方が、なるべく均一になるように、花びらの先を面取りして、普段のカービングより厚みをもたせています。
 こちらのソースになったパパイヤは、打ち合わせの際には、肉料理にカービングをして合わせる予定だったものです。しかし、手に入ったパパイヤが熟れていて、カービングをするには柔らかすぎた為、急きょ魚料理のソースにして頂いたものです。トロピカルな風味とパパイヤ独特の苦味なども活かされた、これまでに私が頂いたことのない絶妙なお味でした。

京芋のケージ、にんじんのバラ、かぼちゃのコースター ローストポーク マスタードソース

 事前に材料を仕入れに行った際、大きな竹の子のような形の京芋が売られていました。 カービングをするのに十分な大きさだった為、メインに使いたくなりました。小松シェフに御相談したところ、「フレンチで使わない素材だからねぇ。茹でたときの変色が心配。」とのご意見を頂き、試しに茹でてみることにしました。
 心配したほど黒くならず、この程度ならお出ししても大丈夫と思ったので、使うことにしたのですが、いざ、カービングをし始めると、硬くて細工が進みませんでした。また、下に敷くかぼちゃも大変硬く、複数作らなければならなかったので、大変きつい作業になりました。
 京芋のケージの中には、ブイヨンで煮て頂いたバラを忍ばせて、サプライズ感を演出しました。

苺とブルーベリーの花 ティラミス 苺のピューレを閉じ込めて

苺は、細かく細工を入れることは難しいのですが、こちらのように3カ所に切り込みを入れて、上側にブルーベリーを挟んだら、かわいいお花になります。苺が出回る時期に基礎コースのレッスンでお教えする課題のひとつです。