06年 バンコクコンペ ゴールドメダル受賞

The 12th Culinary Gathering of Cooks & Chefs 2006.9.8
フルーツ&ベジタブル・カービング・コンペティション参加報告

コンペティション作品全体像(制限時間3時間)

バンコクのクイーン・シリキット・コンベンションセンターで行われた、フルーツ・ベジタブル・カービング・オン・ステージに参加しました。

今回は、昨年に引き続き、2回目の参加でした。私が、この大会のことを知り、見に行くようになったのは、確か1998年ごろだったと思います。それ以来、日本人で2回以上参加した方は、いなかったと記憶しています。昨年は、初めての参加だったため、不安で神経がピリピリしていたのですが、今年はある程度様子がわかったので、気分的には、かなり楽でした。

今年のテーマは、「蝶・ハート・浮き立たせる」。スイカとメロンを2個ずつ丸彫りで使いますが、それぞれひとつを蝶のモチーフにし、もうひとつをハートのモチーフにしました。後ろに置くのは、この4つ。前に大根とパパイヤの花、ビーツ(赤い丸大根)のバラで、アレンジをひとつ作ります。

蝶のモチーフのスイカ

【写真】蝶のモチーフのスイカ

時間のかかるものから順に彫ることにしました。まずは、蝶のモチーフのスイカです。これは、文章では説明しにくいのですが、スイカの下寄りに、一筆書きのような続いた模様をカットします。その部分の1部を残して切り取らず、その他の模様の部分の皮の下にナイフを入れます。模様を浮き立たせ、立体的にするというものです。これは、皮の部分が果肉から浮き立たないと、細工が目立たないので、5cmくらいのワイヤーを差して、皮を起こしていました。

その後、皮に蝶のモチーフを作り、それ以外の部分の皮を剥きます。そして、蝶の羽の部分を折れないように持ち上げながら、下にバラを4輪彫りました。ですので、蝶の部分は、後から貼り付けているのではなく、くっついています。このスイカの下寄りの部分は時間がかかるので、48分かかりました。しかし、練習していたときには、54分かかっていたときもあり、本番では、予定より速くできました。


ハートのモチーフのスイカ

【写真】ハートのモチーフのスイカ

次は、ハートのモチーフのスイカです。このデザインは、なかなか決まらず、大会の3日前にようやく決めたものです。画像では、わかりにくいのですが、中心から外側に向かって配置した、曲線の細い部分の先は浮き立っています。中心に近いところは、スイカの果肉にくっついていますが、それ以外の部分は、下側を切り取り、立たせています。線を全部切り取ってしまわないように注意しないといけませんでした。これは、31分かかりましたが、練習では、いつも37分かかっていたので、これも予定より速くできました。

ハートのモチーフのハニデューメロン

【写真】ハートのモチーフのハニデューメロン

3番目は、ハートのモチーフのハニデュー・メロンです。実は、このメロンを彫っている途中まで、緊張で手が震えていました。昨年は、ギャラリーが背後にいて、気配は感じましたが見えないので、始まってすぐに緊張が取れました。

ところが今回は、左斜め前、約5mのところにギャラリーがいたので、ちらちら目に入りましたし、何度も「日本人だ。」という声が聞こえてきたので、「見られてる!」と思い、1時間半ほど緊張していました。

メロンを彫っているときに、白人のジャッジが、規定書を持って近づいてきて、「スイカに使っているワイヤーですが、ここにワイヤーが見えないようにしないといけないと書いてあるんです。」と言いました。実は、私も規定書に書いてあるのは知っていたのですが、過去の大会で何度かワイヤーを見せて使っていた作品があったのと、針金むき出しでなく、フローラルテープを巻いて緑色にしておけばいいとも聞いていたので、大丈夫かと思っていました。

注意されたので、すでに飾っていたスイカのワイヤーは、外しました。ですので、写真のスイカの下側は、あまり浮き立っていません。幸か不幸か、注意を受けたことで、諦めというか、開き直れたというか、ここから手の震えが取れました。このメロンは、24分かかりました。いつもは、25分はかかっていたので、これも予定より速くできました。

2匹の蝶のカンタループメロン

【写真】2匹の蝶のカンタループメロン

最後の丸彫りは、黄色いカンタループ・メロンで、2匹の蝶と、その周りにバラを3輪彫りました。蝶のスイカと同じ作りで、まず皮の部分に蝶を2匹カットし、それ以外の周りの皮を剥きます。その皮を剥いたところをバラの花にしました。この蝶も後から付けたものではなく、最初からくっついています。これは、27分かかりました。

ここまでで、11時02分になっていました。練習していたときは、 ここまででだいたい11時16分くらいの予想でしたが、14分も早くできたため、もう12時になっているのではないかと、変な錯覚を起こしたくらいで、何度も時計を見て確認しました。「まだ1時間近くも時間がある!」


次からは、前のアレンジの為の花を作ります。後ろに置く4個の丸彫りにかかる時間によって、前のアレンジの花の数を調整しようと思っていました。練習では、だいたいここで45分しか残っていませんでした。花の種類は、中心に配置する大根とパパイヤの大きな花と、ビーツでバラを作るつもりで、2種類しか作りません。

前のアレンジ

【写真】前のアレンジ
白:大根/中央のオレンジ:パパイヤ/赤:ビーツ丸い/黄色:かぼちゃ/黒:なす

ビーツは、色が濃く、血のような赤い色が出るので、1度手やナイフに汁が付くと、他のものにも色が付く可能性があるので、1番最後に作業をします。 ビーツのバラは1個3分です。目標は、6個作りたいので、水洗いしたり、ワイヤーを差したりする時間も入れて、ビーツに使う時間は、20分と設定していました。ですので、11時35分になれば、ビーツにとりかからなければいけません。(最後の掃除にかかる5分も取っておきます。)11時35分までの残り時間が、大根とパパイヤの花に当てる時間です。練習では、1個8~10分かかっていたので、最低2個。うまくいけば、3個できるかもしれないという予想でした。 本番では、あと33分あったため、大根とパパイヤの花は、3個できると思いました。まずは、大根の花を2個作り、後でパパイヤの花を1個作りました。

あとは、残り時間全部をビーツのバラに使えます。予定の6個を作り終えた時点で、残り時間が8分でした。作業していた机の上をきれいにかたづけて終わらないといけないのですが、5分あったら掃除をして、 作った花を全部刺せるだろうと思いました。それで、あと1個ビーツでバラを作る時間があると思ったので、もう1個作りました。予定より1個多い、7個のバラを作ることができました。


フルーツ&ベジタブル・カービング・コンペティション2006 ゴールドメダル受賞

おかげさまで、ゴールドメダルを頂きました。参加者のほとんどが、タイのホテルのシェフですが、今回は、台湾やギリシアからも参加があり、色んな作風の作品がありました。

参加するにあたって、タイ在住の友人Mさんには、申込みの手続きを始め、最後の荷物の搬出まで手伝って頂きました。彼女がいなければ、参加は勿論、ゴールドメダルは頂けませんでした。本当に感謝しています。C先生、S先生、友人のSさん、ガイドのGさん、お世話になりました。

また、同じくこの大会に参加された冨松みつるさんには、大会当日とその後も親しくして頂きました。ありがとうございました。そして、昨年この大会で知り合いになれたカービング教室ブルーの森田さん、 Carving Studio Sの信乃さんや、生徒さん方にも応援して頂き、心強かったです。ありがとうございました。この大会に参加するため、振り替えレッスンや、お休みをお願いし、生徒の皆様にもご協力を頂きました。ありがとうございました。会場では、大会に参加されていた他のシェフの方々も、私が昨年に続き2回目の参加だったため、覚えていてくださり、よくしてくださいました。お世話になり、ありがとうございました。