カービングってなに?
ベジタブル・フルーツ・カービングってなに?
野菜や果物を、花や動物などの形に美しく切ることです。 日本では、にんじんを梅の花にしたり、しいたけを六角形に切ったりしますね。 これがベジタブルカービングです。ちなみに和食では、「むきもの」と言います。
【写真】野菜とフルーツのアレンジ 左の黄色:かぼちゃ 中央のオレンジ:熟したパパイヤ 左後ろの白:若いパパイヤ 右の赤:ビーツ 右後ろの黄色:かぼちゃ 右の大きい果物:熟したパパイヤの丸彫り 長さ約35cm タイのかぼちゃは、果肉の厚みが6cmほどあるので、立体的な花を作ることができます。また、柔らかいので、花びらを薄く作って優しく折り曲げ、表情をつけます。
中国料理でも、龍の形に切ったり、めでたい漢字を彫った野菜の飾りを、 ご覧になったことがあるのではないでしょうか?カービングとは、英語で"彫刻"という意味。氷の彫刻は、アイス・カービングと言います。私が専門にしているのは、タイの国のもの。タイでは伝統工芸のひとつで、料理を美しく飾ります。また、石鹸を彫るのは、ソープ・カービングといい、野菜と同じように細工ができます。 石鹸は野菜と違って長持ちするので、置物やプレゼントとして喜ばれてます。
どんなものが作れるの?
タイのベジタブル・カービングの特徴は、花をよく作ること。実際にある花は勿論、デザインされたオリジナルの花など、ありとあらゆる花を作ります。特に人気があるのは、バラ。華やかで、カービングを習い始めた方が、「彫ってみたい」と思う憧れの花です 。
【写真…大根で作った白いバラのアレンジ】
タイのカービングのもうひとつの特徴は、かなり精巧に作ること。宮廷料理で発達したので、時には料理と同じくらいの時間をかけて、丁寧に細工します。時間がゆったりと流れている、タイの国で発展したのも、うなずける気がしますね。展示会で飾っていると、野菜だと気付かず、本物の花と間違える方もいらっしゃいます。
どうやって作るの? まずは道具!
細工をするのは、専用のカービングナイフです。これ1本で、ほとんどの作品を作ります。先が鋭く、また繊細なので、落としたり、野菜以外の硬いものを切ったりしないように気をつけます。ですので、まな板を使って野菜を切り分けるときは、普通の包丁を使います。
持ち方は、鉛筆を持つように、下から支えますが、基本的には、中指と親指で持ちます。(人指し指は浮かせるか、沿わせる程度にします。)そして、最初は怖いのですが、中指を刃の横側に当てて持ちます。(かなり前の方を持ちます。)実際に切る時は、切るものを固定する為に、右手の薬指を、切るものに置いて切っていきます。カービングナイフの他には、彫刻刀を使うこともあります。
切ってみましょう!
基礎の葉っぱを作ってみましょう。包丁で、きゅうりを約10cmの長さにカットします。そして、それを半分にします。
① ここからカービング・ナイフを使います。葉っぱの形にする為、片方を丸く、片方を尖らせた形にします。
② 次は、葉っぱを下向きにして作ります。真ん中に葉脈の形を、カットします。その外側を、ナイフを斜めに入れてラインを切り取り、葉脈を浮き立たせます。
③ その両側に、ナイフをVの字に入れて、ギザギザを作ります。
④ 最後に、内側のギザギザの縁を作るように、外側をカットして
⑤ 出来上がり!
どう活用するの?
ベジタブル・カービングは、生のお花を活けるように、花器に挿して飾ることができます。タイでは、高級ホテルや、宮廷料理のレストランで、豪華なアレンジを見ることができます。また、お料理に添えて、お皿を華やかに飾ります。タイのカービングは、野菜を生で細工し、生のままお皿に添えるので、単なる飾りとして用いられています。
しかし、食べれるのですから、ぜひお料理に使いましょう!にんじんで作ったバラは、シチューや煮物に、きゅうりで作った葉っぱは、そのままサラダにしたり、ピクルスにしたり。お料理していても、お鍋のフタを開けるたびに、お花があるとかわいらしく、食べてくれる人の喜ぶ顔も浮かんできて、とっても幸せな気分になります。
また、ソープ・カービングはアートフラワーのようにワイヤーに差してアレンジし、置物にしたりします。シンプルに箱に入れてプゼントすると、香りのある贈り物として喜ばれています。